意味が分かると怖い話32:【殺人メール】
「スズキ株式会社の社長は邪魔じゃございませんか?ご依頼いただければ殺して差し上げます。」
そんなメールが届いたのは4月のことだった。
差出人は不明。
スズキ株式会社とは、我が社と業界のシェアを2分するライバル企業だ。
現在の社長は創業者から数えて3代目のスズキ某だ。
押しの強い男で強引な経営戦略が有名。
昭和の精神力経営の権化のような男だ。
業界団体の懇親会などで顔を合わすこともあるが、口も鼻も大きく脂ぎったいけ好かない奴だ。
「どうやって殺すつもりだ?」
私は一向に上向かない営業成績の報告会議を終えたところだった。
社長室のデスクの上でため息をついた。営業成績は最悪である。
その鬱憤もあった。
正体不明のメールに返信をしてしまったのだ。
「スズキ社長には病死でなくなってもらいます」
「いくらだ?」
「1000万円です」
私は面食らってその金額を口に出して叫んでしまった。
「いっ1千万・・・!」
だが冷静になって考えれば人が一人死ぬんだから、むしろ安いいくらいなのかも知れない。
バカバカしい。
私はメールが映し出されたパソコンに向かって毒を吐いた。
そしてメールには「わかりました、よろしくおねごいします」とうって返信をした。
イタズラのメールに決まっている。
だったらいたずらで返すのが道理だろう。
直ぐにメールには返信が来た。
三ヶ月から半年で仕事は完了するでしょう。
そう書かれていた。
「はいはい、分かりました」
そんなメールのことはすっかり忘れていた。
私には傾きかけた経営を何としても立て直さなければならないという使命があった。
悪戦苦闘の激務の中で部下にも非情な叱責や厳しい営業成績を求め続けた。
季節は瞬く間に夏を通り過ぎ秋になった。
私が出社すると常務が社長室に駆け込んできた。
手には新聞が握られている。
「社長、これをご覧下さい」
新聞にはスズキ株式会社の社長が亡くなったと記載がされた。
死因ははっきりと書かれていないが病死のようだった。
私は自社の営業戦略を頭の中で組み立て直した。
「直ぐに幹部ミーティングを始めるぞ!」
私は常務に怒鳴った。
これは我が社にとって一世一代の大チャンスかもしれない。
その日は、営業チームと細かな打ち合わせをして1日が過ぎていった。
夕方になってパソコンの画面が光っているのに気が付いた。
一通のメールが届いていた。
「お約束は果たしました」
とあった。
私は冷たい手で心臓をつままれたような気がした。
あのメールだ。
こちらに振り込みをお願いします。
振込先と一千万という金額が書かれていた。
ここで場所がチェンジだよ(;´・ω・)
斉藤智恵子はナース専用のパソコンからメールを送信して電源を切った。
同僚の看護婦が近づいてくる。
「担当のスズキさん、残念だったわね」
「そうですね。でも半年以上前から分かってた病気ですから」
「あなたも大変ね。助からないことが分かってる患者ばかり押し付けられて」
「そうでもありませんよ」
意味が分かると怖い話「殺人メール」の解説
面白い~♪ちょっと長い意味が分かると怖い話で最後の落ちはちゃんと作れるのかなって心配してたけどちゃんと決まってスッキリした。
私この話好きよ。
それでは意味が分かると怖い話の32話の解説をします。
看護婦の斉藤智恵子さんが最後のに登場してきました。
彼女が担当する患者さんは「助からないことが分かっている患者さん」です。
もうお分かりですね。1000万を振り込ませた殺人鬼の正体が。
看護婦さんの斎藤さんは殺人鬼だけど殺人鬼ではない。
スズキの社長さんを殺してないから殺人鬼だけど犯罪者じゃないのかな?
脅迫罪とかで捕まっちゃうかな?
みなさんこんにちは!Scary-Story.net意味が分かると怖い話に来てくれてありがとうございます。意味が分かると怖い話の32話はいかがでしたか?ちょっと小説風で個人的には好きな感じでまとまっていました。看護婦さんの最後の言葉が「そうでもないですよ」と多くを語らずに締めているところがシュール過ぎてカッコいい。出来る女の感じがする( ̄▽ ̄;)知り合いの弁護士さんに聞いたら脅迫罪は成立するらしいから、やっぱり斎藤さんは犯罪者だそうです。ひょっとして完全犯罪かも?そう思った人いました?残念ですが完全に犯罪ですからやっちゃだめですよ。
Scary-Story.net編集部:青鬼
コメント
ここで場面が変わるとか無能すぎるだろ