僕が大学に入学して初めて一人暮らしをした。その部屋は最初からなんか嫌な感じがしたんだ。だけど家賃も安いからさ「きっと大丈夫。霊とか怖い話とか実際にはない」そう軽く思っていた。だけどやっぱりいわくつきの物件というんは本当に存在する。僕は怖い話をしたいんじゃない。君にも気をつけてほしいだけなんだ・・・
オカルト好きなみなさまごきげんよう
scary-storyの文乃です
お札のアパートは本当にあった実話を元にしたお話ですよね
そうだとも
scary-story編集部に寄せられた相談だ
かなり怖い話ですか?
実際に起これば100%怖い!
俺なら耐えきれんかもしれん
怖い話としては★★★★☆
5分ちょっとで読める怖い話だから是非楽しんでくれ
それではわたくしと一緒に「お札のアパート」恐怖を一緒に楽しみましょう
怖い話実話系「嫌な感じのするアパート」
僕はアパートの部屋に帰ってくるといつも嫌な雰囲気を感じていた。
何かが動いているわけではない。
誰かが侵入した形跡があるわけでもない。
それでも何かがいるように感じていたのだ。
いつもどこからか誰かに見られているような気がしていたのだ。
そのアパートは都内の某所にあった。
大学進学で上京した僕は仕送りの額が決まっていたので、アパートの家賃はとにかく安い所を探した。
家賃が抑えられればその分遊びに使えるお金が増える。
「不動産屋さん。安いアパートがいいです」
僕がそういうと不動産屋さんはメガネの奥から僕を覗き込み、
「安いアパートは古いけどいいかい?」
と聞いてきた。
僕はおおきくうなずく。古くたって安い方が良いに決まっている。
アパートは寝る為だけなのだ。
怖い話実話系「安いアパートはあんまりよくないよ」
不動産屋さんに一緒についてきていた母親は「あんまり安いのは良くないよ」そう言ったが僕は聞かなかった。
不動産屋さんが提示したアパートの中でもっとも安いアパートに決めた。
大学までは自転車で30分くらいかかりそうだが、風呂も付いているし悪くはない。
不動産屋さんに最初に案内されて部屋の中に入った時にはなんとなくかび臭い?そう感じたが誰も住んでいない部屋だからそんなものだろうと勝手に納得した。
3月の末になりいよいよ僕は1人暮らしが始まった。
引っ越しは父と母が手伝ってくれた。
父は仕事が忙しく引っ越しが終わるとすぐに帰っていった。
「しっかりとやるんだぞ」
父は車の窓から顔を出し手を差し出し握手を求めてきた。
ギュッと握る父の手に僕は一抹の寂しさを感じながらも、これから始まる大学生活に心がウキウキしていた。
怖い話実話系「一人の部屋はがらんとして・・・」
父と母がアパートから帰っていくと狭い部屋なのに何となくガランとした寂しさを感じた。
窓を開ける。
目の前の道路を車がビュンビュンと走っていく。
「やっぱりこの部屋はなんかカビ臭いな」
僕は暫く窓を開けたままにした。
段ボールの中に入れたままにしてある荷物を片づける。
引っ越し作業に没頭していると西の空が茜色に染まり黄昏のさみしさが部屋の中に影を作った。
時計を見ると午後6時だった。
腹も減ってきた。
いつもなら母がご飯を用意してくれるのに今日からはそういう訳にはいかない。
「仕方がないカップラーメンでも作るか」
僕は新品の薬缶に水をいれコンロにかけた。
「カチッカチッ」
とコンロのつまみを回す。
「おかしいな。点かないぞ」
僕はコンロの奥のガス栓を確認した。
「ガス栓は開いている」
もう一度カチッカチッとやる。
やっぱりつかない。僕はしゃがみ込んでコンロを確認した。
怖い話実話系「天井に赤黒いシミが・・・」
その瞬間にヒヤッと背中を何かが触った。
「うわっなんだ」
僕は慌てて立ち上がり振り返った。そこにはもちろん誰もいない。
しかし冷たい何かが背中を触った感触が残っている。
「おかいしいな」
天井を見上げた。
「上の階から水漏れなんてないよな」
天井には直径30㎝位の焦げ跡のような赤黒いシミが付いていた。
その染みをじっと眺めた。乾いているようで何かが垂れてくる様子はない。
「シューシュー」
と小さな音が耳に届いた。
ガスが出ていた。
僕はつまみを戻し、ガスを止めてもう一度カチっとやった。
火は普通についた。
カップラーメンを食べていると母から電話があった。
「大丈夫さみしくない?」
さみしがっているのは僕ではなく母親のようだった。
電話の最中に「ざざっざざっ」と小さなノイズが何度か走った。
怖い話実話系「空気が重くべたつく・・・」
同時に蛍光灯がぱちぱちっと点滅した。
「どうしたの?大丈夫?」
電話の向こうで母が敏感に何かに気が付く。
「大丈夫だよ。何でもないよ」
僕は蛍光灯が明滅したこと以上に何か嫌な感じを覚えていた。
薄暗くなってから空気が一段と重くなったような気がする。
べたっとして絡みついてくるようだ。
かび臭さも一段と増したような感じだ。
電話を切ると僕はテレビを付けた。
ボリュームを大きくして嫌な感じを吹き飛ばそうとした。
テレビを見ながら横になっているといつの間にか眠ってしまった。
夢を見た。
アパートのベランダに40歳くらいの男の人が立っている。
そとは暗くて顔は見えない。
かちっかちっとライターの火を付けている。
火花が飛ぶたびに顔がぼんやりと浮かび上がった。
目がない。えぐれている?
目のある場所は2つの穴が開いていた。
男は僕に気が付くとアパートの窓を開けた。
怖い話実話系「ひ・・・火・・・」
夜風と共にかび臭い匂いが部屋の中に忍び込んでくる。
「誰だ、ここは僕の部屋だぞ」
僕は後ずさりして逃げようとしたが体が言うことを効かない。
「ひ・・・火・・・」
男は顔を僕の目の前に近づけてきてそういった。
タバコを咥えている。
「もってない」
僕は頭を振ると男は「お前は誰だ?」といった。
僕は訳が分からず頭を振るしかできなかった。
「火をくれ。火をくれ」
男はなおも迫ってきた。
「わー!」
叫び声をあげると男は目の前から消えていた。
僕はアパートの部屋の中にいる。
テレビからお笑い芸人のコントが流れている。
のどが渇いている。
唾を飲み込んだ。
「ゆ・・・め・・・夢か」
怖い話実話系「レースのカーテンが揺れている」
僕の背中はぐっしょりと濡れていた。
その背中にひゅーっと風が当たった。
そちらをみて僕は固まった。
窓が開いていた。
レースのカーテンが風に揺れている。
その向こうに夢のなかに出てきた男が立っていそうな気がした。
僕は立ち上がった。ここにいてはいけない気がした。
窓まで近づいて外を確認する。
「良かった。男はいない」
窓を施錠してアパートを出た。行く当てなんかなかった。
とりあえず近くのコンビニに行って雑誌を立ち読みした。
1時間くらいすると気持ちが落ち着いてきた。
なんだかひどく自分が間抜けに思えてきた。
幽霊とか心霊とかあるはずがない。
「怖い夢をみてアパートを飛び出すなんて子供かよ」
僕はアパートに戻った。
部屋の中は何事もなくシンとしている。
「よし。風呂に入ろう」
僕は努めて冷静にした。
裸になって風呂に入ると天井の方からカタカタと音がした。
「何だろう」
見上げるとお風呂の天井に着いている天井裏を確認する点検口がずれていた。
怖い話実話系「天井裏のねずみ」
僕は浴槽のふちに足を乗せ天井裏を覗いてみた。
暗闇の向こうで何かが動いているような気がする。
「ねずみだ」
僕はこの部屋に来てから感じている嫌な感じの正体が分かった。
このネズミを追い払えば嫌な感じも消えるに違いない。
僕は裸のまま部屋に戻ると懐中電灯を持ってきた。
そしてもう一度点検口をずらして天井裏を覗いた。
懐中電灯をつけた。
天井裏の更に天井には真っ赤なお札がびっしりと張られていた。
黒いネズミがお札の端を噛みついている
僕はそのまま意識を失ってしまった。
僕は結局1日という最短の記録でアパートを引き払った。
後に分かったことだがこのアパートでは中年の男性が自殺をしていた。
ヘビースモーカーだったらしく毎晩ベランダでタバコを吸っている姿が目撃されていた。
僕はかちっかちっとライターを動かす目のない男の姿を思い出さずにはいられなかった。
その男が自殺した男性かどうかはわからない。
でもきっとそうだと僕は思う。
ぎゃーWWWWWWW
ちょっと怖い話すぎです(泣)
お札とかネズミとか有りえないんですけど・・・
確かにお札はちょっと怖すぎるな
僕の夢の中に出てきた幽霊は自殺した中年の男性だったのですか?
かちっかちってライターで火を付ける音ですか?
それははっきりとはわからないが恐らくその男性だったのだろう
死にきれない思いがあってその部屋の中に居付いてしまったんだろうね
天井裏のお札は誰が張ったものなのか今となってはわからんよ
オカルト、怖い話が好きな皆さま
最後まで読んでくださりありがとうございました。
この話が怖かったらSNSで共有してくださるとうれしいです
scary-storyの文乃がお送りしました
コメント
古めかしい雰囲気のアパートって、なんか独特の雰囲気があって、面白そうだったり、少し怖い雰囲気があったりしますね。レースのカーテンが揺れたり、「火」という声が聞こえたり、亡くなった方の亡霊が住み続けていましたか!
真っ赤なお札がインパクト大!私も旅館やホテルなどに行ったら、額縁や掛け軸などの裏を覗いてすかさずお札チェックします。もしお札があったら速攻で部屋を変えてもらいます。自殺したヘビースモーカーの男はタバコに火をつけてほしかったのかな…。一日で引っ越しなんて引っ越し代も相当かかったと思います。同じ目にあっても、「家賃を払ってるのは俺なんだからお前は出てけ!」なんて強気で追い払うひともいたりするかも。